トランプ政権の検証と今後の日米中の関係は…

竹中平蔵慶應義塾大学名誉教授・東洋大学教授による、トランプ政権の分析コラムを参考に、トランプ政権の本質に迫り、トランプ政権が日本経済にもたらす影響を考えて見ます。

実に明快に分析されていて、未来予想も明確になっているので、ぜひこのコーナーで情報を共有して、今後の自らの行動の参考にしたいと思います。

●総論なき各論政権

竹中氏は、現トランプ政権を「総論のない各論だけの政権」と称しています。

つまり政策運営の幹がなく、枝葉の政策がバラバラに展開されていると評しています。コラムでは、その枝葉政策を「政治的エピソード」と表現しています。

ようは、自らの支持層に対してのみ“うける”政策になっているというのです。

アメリカ・ファーストという保護主義政策がまさにそれです。

先進国では近年、科学的根拠に基づく政策立案手法「エビデンス・ベースト・ポリシーメイキング(evidence-based policy making)」の導入が進んできていますが、トランプ政権はそうした潮流に背を向けていると指摘しています。

竹中氏の表現では、トランプ政権の政策は、支持層の受けを狙った「政治的エピソード」の積み重ねとなっているとのことです。

なるほどね。言われてみればそのとおりかもしれません。

具体的には、メキシコへの一部工場移転を進めていた大手自動車メーカーのフォード・モーターや大手空調機器メーカーのキヤリアなどを批判し、同計画を撤回させ「雇用を守った」と勝ち誇ってみせたこと、また、環太平洋連携協定(TPP)からの撤退や地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱表明も、米国人労働者のためというエピソードづくりに使われたということです。

長い目で見れば、保護主義や孤立主義は、米企業の収益力低下を招いて、より大きな雇用減少をもたらす可能性が高いという意味で本末転倒であり、反エスタブリッシュメント、反エリートの掛け声のもと、そうしたエビデンスは無視され続けていることが、エビデンス・ベースト・ポリシーメイキングに則っていないというのです。

ロシアゲート問題で支持率が低下している中では、ますます政治エピソード作りに走り、支持層に受ける政策を前面に押し出してくるのではと、竹中氏は危惧しているようです。

●来年の中間選挙とのからみがポイント

トランプ政権を支えている共和党にとって、支持率低下は来秋の中間選挙に響いてきます。

ロシアゲート問題が大統領の長男にまで及んでくるなか、かといって発足間もない時期に大統領交代は実にみっともない状況で、議会共和党としても、しばらくはトランプ大統領を担ぎ上げるしかないと思われます。

従って大統領弾劾という事態は考えづらいですが、あるアメリカ在住のジャーナリストによれば、年末から来年にかけては、大統領を引きずりおろすこともありえるのではと述べています。

一部マスコミでは、マイク・ペンス副大統領の人柄を取り上げているところもあります。

ただしばらくは、共和党支持層受け狙いのエピソード重視の政策に、議会も付き合うことになるのでしょう。

●何もできないのではないか…

トランプ政権誕生で、最初に世界中の人が恐れたのが「何かとんでもないことをしてくるのではないか」という、トランプ大統領自身のパーソナルな部分から連想されるものでした。

選挙期間中の発言が常識の枠を超えているイメージを与えたことにより、今までの価値観をひっくり返すのではということです。

メキシコ国境での壁建設、中東・アフリカ6カ国からの入国を制限する大統領令発行など、確かにとんでもないことの連発でしたからね。

支持者層向け政策の中でも、米国内産業の活性化政策に関しては、マーケットに支持されました。

法人税減税、国内インフラ投資の拡充などによる大統領選直後からしばらく続いたトランプラリー(株高・金利高・ドル高)に表れました。

ただ、もうひとつのトランプ政権への恐れ「何もできないのでは」という部分が大きくクローズアップされてきました。

それが意識されたのが、選挙期間中に訴えていたオバマケア法案廃案が、議会の賛同を得られないことです。

お膝元の共和党内部からも、無保険者が増えてしまうオバマケア法案廃案は、来年中間選挙には不利と判断する声があがっているようです。

法人税大幅減税にインフラ投資大幅拡充は、もろに米財政を圧迫します。それによる財政逼迫が懸念されていましたが、今の状況では、トランプ大統領が掲げる支持者層向け政策実現は、議会が予算を盾に、トランプ大統領の暴走を止めているとも言えます。

それはアメリカ経済にとっては実はよいことなのだという判断もあります。トランプラリーのような株価上昇はないものの、着実にアメリカ経済をよくしているという見方です。

●米経済はトランプリスクからFRBへ

米国の強さは、立法・行政・司法の三権分立がしっかり機能していることであり、それゆえにトランプ政権の暴走にも歯止めがかかっていると竹中氏は指摘しています。

たしかに、中東・アフリカ6カ国からの入国を制限する大統領令に関しては、連邦最高裁が、各地の連邦地裁・高裁から出されていた差し止め命令を見直し、条件付きで執行を認めはしたものの、トランプ大統領が選挙中に公言していたような、米国の移民・国境管理政策の大転換は起きていないのも事実です。

竹中氏の分析によれば、米経済は、大幅な財政拡大で成長率が一時的に大きく跳ね上がることも、とんでもない政策で腰折れすることもなく、巡航速度の成長を持続することになるのではないかとしています。むしろ、注視すべきは、米連邦準備理事会(FRB)による金融政策正常化プロセスがうまくいくかどうかにかかっているとのことです。

●トランプ政権の対日通商政策が怖い

トランプ政権は、中国をビジネス・パートナーとして接しているのではないか、それにより対日通商交渉は厳しいものになってくるのではないかとの見方があります。

中国には気を使い、もういっぽうで日本をたたく…

この構図は注意をして見ていかなければならないと思います。

北朝鮮問題が前面に出てきて、トランプ政権が協力を求める中国・習近平指導部に対して当面強く出にくい状況を考えると、日本への圧力が高まりやすいと、竹中氏は指摘しています。

米国と中国が日本の頭越しに、大きなディールを結んでしまう可能性にも警戒が必要です。

例えば、北朝鮮問題解決に向けた中国の対米協力強化と引き換えに、米国が中国主導のシルクロード経済圏構想(一帯一路)に参加するというギブ・アンド・テイクもあり得るかもしれません。その場合、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への米国の出資なども想定されます。

日本がAIIBに参加することを匂わす発言も、アメリカの動きを気にしてのことでしょう。

通商問題で当面、習近平指導部を刺激しにくいことを考えると、中国の次に対米貿易黒字額が大きい日本やドイツに「口撃」の矛先が向く可能性は否めないでしょう。

日本が経済的にアメリカから独立することは夢のまた夢なのかもしれませんが、米中が手を組むことが、日本にとっては一番厳しい状況になります。

アジアの盟主になる道がありながら、アメリカに気を使い、あるいはアメリカに阻まれて、アジアでの日本のプレゼンスを築けないうちに、いつのまにか中国にアジアを牛耳られ、さらにアメリカが中国をビジネス・パートナーとして認めることになれば、日本は両国の間で埋没することになるのかもしれません。

それは本当に避けなければならない事態だと思われます。

日本の活路は、IoT(モノのインターネット)やフィンテック、AI(人工知能)といった第四次産業革命で主導権を握ることではないでしょうか。

第四次産業革命の恩恵を受ける経済主体とそうでない経済主体の格差はどんどん広がっていくことになります。

中国経済圏の中に日本がいるという時代が来るのでしょうか。

日本は独自の経済大国になれるのかどうか、まさに正念場を迎えるのでしょう…

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